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【妊娠高血圧症候群の症状・原因の解説】

検査ぶっく♪では妊娠高血圧症候群の症状・原因・病態による分類、食事による予防について入門者向きに解説しております。

◆妊娠高血圧症候群の解説(もくじ)

◆妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは?

 妊娠高血圧症候群とは、妊婦中の妊婦の中でも主に後期の妊婦が何らかの原因によって高血圧や尿蛋白症状、母体の血管障害(血管の収縮による血流量の低下現象)を発症する疾患の総称です。

 現在は徐々に妊娠高血圧症候群(PIH)としての名称が定着してきてはおりますが、かつては「妊娠中毒症」として広く認識されていた疾患であり、妊娠高血圧症も妊娠中毒症も全く同一の疾患を現していることをまず把握しておく必要があります。

 尚、妊娠高血圧症候群という名称は日本産科婦人科学会により2005年に変更された名称です。

 この疾患はまだ解明されていない多くの原因があり症状も個々によって多様に出現することから、かつては胎盤形成不全などによる胎盤からの中毒症状を示す疾患とされていた妊娠中毒症という名称が不適切である事が名称改正の背景にあります。

 妊娠高血圧症候群は単一の症状を示す疾患名ではなく、文字通り複数の病態や症状、合併症を伴い、発症原因も多くの要素が関与する妊娠中の妊婦に発症する高血圧、尿蛋白を主体とした包括的な症候群である点を覚えておきましょう。

◆妊娠高血圧症候群の症状の特徴

 妊娠高血圧症候群の症状は多くの症状例があり、前述したように複数の要因が関与し合い、一つの症状ないし、複数の症状を併発するなどして症状が発現する為、一概にひとつの症状が確認されたとしても妊娠高血圧症候群として診断されるような事はまずありません。

 妊娠高血圧症候群の基本的な症状の代表は血管の収縮によって発症する高血圧症に関連する代表的な症状を発症します。

 尚、主な症状としては、高血圧症状の発症による頭痛やめまい、はきけ等の症状の他、尿蛋白、むくみ、急激な体重の増加、子癇によるけいれん発作などの症状を発症するケースが確認されております。

妊娠高血圧症候群の主な症状(画像)

 症状の分類は妊娠高血圧症候群の病態による分類によっても、傾向が確認されており、また妊娠からの週数による発症時期によってもPIHは「早発型」「遅発型」に分類されます。

◆病態分類と診断基準・定義について

 妊娠高血圧症候群は尿蛋白の有無や、妊娠中の高血圧が見られ始めるようになった時期、またけいれん症状の有無、妊娠前から持病として持っていた、もしくは発症していた慢性的な腎機能障害などの初見から、病態別に4つのPIHに分類されます。

【妊娠高血圧症候群の病態分類】
No分類病態・定義
@妊娠高血圧
(GH)
妊娠20週以降に初めて「高血圧」を発症。分娩後12週までに正常に復するケース。
A妊娠高血圧腎症
(PE)
妊娠20週以降に初めて「高血圧」「蛋白尿」を発症。分娩後12週までに正常に復するケース。
B加重型妊娠
高血圧腎症
もともと高血圧症や尿蛋白があり妊娠前あるいは妊娠20週までに各種症状が出現するケース。
C子癇妊娠20週以降に初めて「けいれん発作」を発症。かつ「てんかん」「2次性けいれん」による発作の可能性が否定されるケース。

 @の妊娠高血圧は高血圧による血管障害の可能性は検討されるものの、尿蛋白は確認されず全身の臓器にも異常が確認さない症状・病態を示す場合に妊娠高血圧と診断されます。

 但し、@妊娠高血圧(GH)の約4分の1の方はAの妊娠高血圧腎症(PE)へ移行する為、妊娠高血圧では妊娠高血圧腎症への移行を予防する事が大切です。

 Aの妊娠高血圧腎症(PE)は本疾患の代表的な病態であり高血圧だけでなく尿蛋白が出現します。

 尿蛋白が確認されるケースでは腎機能の状態を確認する血清クレアチニン数値の上昇やヘマトクリット数値の上昇が見られるケースもある為、改めて血液検査を行いその後の治療方法を検討していく形になります。

 Bの加重型妊娠高血圧腎症はもともと持病として高血圧や尿蛋白を発症していた方が妊娠に伴い症状を発症するケースです。

 Cの子癇は妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の中でも最も警戒が必要な状態を示し、上記3つの病態から子癇を発症させないように食事療法による治療や薬物療法を行なっていく流れとなるのが通常です。

 尚、子癇の発症割合は1000〜2000分娩に1例の頻度で発症する傾向を持つことが確認されております。

◆妊娠高血圧症候群の発症原因について

 妊娠高血圧症候群の発症原因はここまで解説してきた通り、多様な症状を示すことからも原因は完全に解明されておりません。

 但し、かつて妊娠中毒症と呼ばれていた疾患名からも胎盤の発育や胎盤形成不全などの影響が大きく関与している可能性が高いことは徐々に解明されつつある妊娠高血圧症候群の代表的な原因因子であると言えます。

 特に、妊娠32週未然に症状を発症する「早発型」のケースでは他の合併症を発症する可能性も高く胎盤形成不全が大きく関与している可能性が検討されます。

 また、妊娠32週以降に症状を発症する「遅発型」の妊娠高血圧症候群に関しては、胎盤形成不全等の原因よりも急激な体重の増加などを原因とする「肥満」が妊娠高血圧症候群の発症に大きく関与している可能性が検討されるようになってきております。

妊娠高血圧症候群の原因と傾向(画像)

 これらの発症時期による原因の特徴はあくまで傾向であり断定できるものではありませんが、発症しはじめた時期からも発症原因や傾向を把握しておく事も大切です。

 尚、妊娠32週前に症状を発症する早発型のケースでは、症状が重く合併症を発症しやすい傾向が確認されており産後の予後不良を及ぼしやすい傾向がある事から、治療に関しても医師としっかりと相談を重ねていくことが重要になります。

◆食事療法のポイント・塩分制限について

 妊娠高血圧症候群と診断された場合の治療の基本は、何よりもまず絶対安静で母体、胎児への負担を軽減する事が何よりも大切です。

 病態分類と診断基準・定義の項で解説したCの子癇の発症を未然に予防する上でも、安静時は「少し暗めの部屋」でベッドに入りゆっくり休養をとるようにします。日中であればカーテンをしめると良いでしょう。

 但し、二人目、三人目の赤ちゃんを妊娠している場合は、お兄ちゃん、お姉ちゃんの子育てを行いながら安静を保つことはとても困難です。

 特に子供の年齢が小さかったり年齢が近い場合などは更に負担が大きくなることが想定される為、このような場合は家族へ状況を説明し協力を受けられるような環境を整えていく事も大切です。

 尚、妊娠高血圧症候群の食事療法のポイントは、以前は塩分制限を強く行う事が推奨されておりましたが、現在は過度の塩分制限を行う食事療法が行われる事はありません。

 塩分は人体に不可欠なミネラルでもある為、1日に必要な塩分量はやはりしっかり補給していく必要があるのです。

 尚、推奨される塩分の摂取量は1日あたり7グラム〜9グラム程度です。

※1日あたりの塩分摂取量の目安は7グラム〜9グラム程度が推奨

 塩分量は症状が安定してくるまでは過剰な塩分制限は必要ありませんが、当然過剰摂取はより禁物です。

 お腹の赤ちゃんの為にも食事はしっかり摂取する必要がある為、塩分量を調節した食事メニューを検討していくことも大切です。