血液検査の結果、血清鉄検査値が基準値の範囲よりも低くなっている場合のケースについて見ていきましょう。
このように検査値の数値が基準値よりも減少しているケースでまず真っ先に疑われる疾患が貧血症です。
貧血症の場合はその原因が何であるのか?について確認していく必要があります。
貧血症のおよそ9割がたを占めるといわれている疾患が「鉄欠乏性貧血」です。
この鉄欠乏性貧血とは、名前の通り、鉄分の不足が要因となって発症する貧血症です。
血清鉄の血液検査が行われる大半のケースも、この鉄欠乏性貧血の有無をチェックする際に行われております。
【検査ぶっく内参照記事】
血清鉄とは、体内の血清中に含まれている鉄分のことを言います。体内の鉄分量を測定する際に行われる血液検査がFe血清鉄検査となります。検査では、血液を採取し遠心分離機などで血液を沈殿物と血清に分離…
⇒血清鉄-基準値・正常値のまとめ
この他、真性赤血球増加症などの貧血性疾患の可能性も検討していきます。
血清鉄の血中濃度が低下している場合は、まずは貧血症の可能性を検討します。
また貧血症以外の疾患としては以下のような疾患の可能性も検討されます。
☆感染症
☆悪性腫瘍
☆膠原病
以上の症候性貧血疾患を発症している可能性も検討していきます。
症候性貧血疾患を発症しているケースでは血清鉄とTIBCの双方の数値がともに低下を見せるという特徴があります。
その為、双方の数値を確認し、可能性が検討される場合は、疾患別の検査へ移行していく流れとなります。
※症候性貧血疾患=血清鉄・TIBC共に数値が低下している場合に検討
骨髄の造血機能が低下している場合も、血清鉄数値の低下を引き起こすケースが確認されております。
骨髄は毎日休み無く造血を行っております。
造血される主な成分には血清鉄を取り込む赤血球の他、白血球、血小板といった組織も生成しております。
これらの成分は生命の維持に欠かせない成分。
この造血機能が何らかの要因によって機能障害を発症する骨髄性疾患になると赤血球の製造が不足し低い数値を示すようになるのです。
骨髄の病気は難病が多く、治療も根気良く長期的に継続する必要があり更に最終的に骨髄移植へと移行するケースもあります。
※骨髄性疾患の場合は治療が困難であり長期化する