検査の基準値・正常値のまとめ

【ヘマトクリット値が低いケース】

検査ぶっく♪ではヘマトクリット血液検査の検査結果数値が基準値よりも低い数値であった場合に考えられる病気の可能性について入門者向きに解説しております。

◆ヘマトクリット検査の基準値・正常値のまとめ♪(もくじ)

◆貧血性疾患の可能性をまず検討する

血液検査の結果、ヘマトクリット検査値が基準値の範囲よりも低くなっている場合のケースについて見ていきましょう。

ヘマトクリット検査では主に貧血性疾患の可能性の確認の為にも検査が実施されます。

ウィキペディアの健康診断の解説では健康診断は主に職業病の疾患の早期発見、予防を目的とした検査であるという趣旨が記載されておりますが、ヘマトクリット検査の場合は、健康診断に限らず、特に女性に発症傾向の高い貧血性疾患の種類や可能性の確認を検証する目的においても検査が実施されます。

ですから検査値の数値が基準値よりも減少しているケースでは、まず「鉄欠乏性貧血」「再生不良性貧血」などの貧血性疾患の可能性を検討します。

鉄欠乏性貧血とは、文字通り体内の鉄分が不足することによって発症する貧血疾患で、栄養成分バランスが乱れることがその要因に潜んでいます。

赤血球細胞はヘモグロビンを細胞内に取り込むことではじめて酸素の運搬が可能となります。

このヘモグロビンは主成分が鉄で構成されている金属性蛋白質ですから、鉄分が不足するとヘモグロビンそのものが生成できなくなってしまうのです。

女性の貧血症の大半はこの鉄欠乏性貧血症であることも確認されております。

※数値が低下=鉄欠乏性貧血・再生不良性貧血などの貧血症の可能性を検討

◆子宮筋腫・胃潰瘍などの出血性疾患

鉄欠乏性貧血や再生不良性貧血などの貧血性疾患以外では出血性疾患の可能性も検討していくことになります。

人体の臓器などに出血症状が発症している場合は、出血に伴って体内の赤血球量が減少する傾向にあります。

その為、出血性を伴う疾患が発症しているかどうかの確認を行うことも重要です。

臓器内に出血を伴う代表的な疾患としては以下のような疾患があります。

【臓器内に出血を伴う代表的な疾患】
◆子宮筋腫
◆胃潰瘍
◆十二指腸潰瘍

◆鶏レバー・魚介類などのヘム鉄食材の摂取

貧血性疾患の可能性が認められる場合は、治療を開始しなくてはいけません。

但し治療と言っても基本的な治療は「食事療法」による食生活の改善が基本です。

鉄分の摂取を積極的に行うことで貯蔵鉄を回復し、しっかりと体内に鉄分が補給されると徐々に症状が改善してくるケースが大半です。

ですから日常生活の食生活の改善から取り組む必要があります。

尚、食事療法で行われる鉄分の摂取に関しては、ただモリモリと鉄分を多く含む食材をたくさん食べると良いという訳ではありません。

鉄分は余分に採りすぎても過剰分は体外へしっかり排泄されるミネラルである為、摂取過多の心配はあまり必要ありません。

しかし、吸収率が低いという問題がある為、食事療法ではバランスの良い食生活を心がけ鉄分の吸収率を高める工夫が必要です。

吸収率を高めるビタミンC

尚、最も吸収率が高い鉄分がヘム鉄に分類される動物性の鉄分です。

鶏レバーなどの肝臓系食品や魚介類にヘム鉄は多く含有されております。

またビタミンCと同時に摂取することで鉄の吸収率が高まる為、過剰に摂取しなくてもしっかり体内へ吸収することが可能です。

◆ヘモグロビンが減少する原因とは?

ヘモグロビンという言葉は比較的よく耳にする言葉のひとつと言えるかもしれません。

血液検査の多くでは、このヘモグロビンの測定数値などを参考として病気の可能性を検討したり診断の基準として用います。

有名なヘモグロビンの血液検査の中には、グリコヘモグロビン血液検査(Hba1c)がありますね。

では、このヘモグロビンは人体に対してどのような影響を与えるのでしょうか?

これはヘモグロビンの機能を把握しておくとよくわかります。

ヘモグロビンの一番の役割は「酸素の運搬」という働きでしたね。

酸素を全身の隅々まで運ぶヘモグロビンがもし何らかの原因で減少してしまうと、人体には様々な影響を催すようになります。

持久力を必要とするスポーツ競技を実践されている方の場合は、酸素が上手に運搬されないと息苦しさを感じやすくなるでしょう。

ヘモグロビンの最大の働きである酸素の運搬は生命の維持に欠かせない機能ですから検査数値も当然重要な指標となってくることになります。

ヘマトクリット検査では、血液成分の比率を観察します。

ヘマトクリット血液検査でチェックを行うのは赤血球数の比率ですが、これはヘモグロビンの量の確認にも繋がっているのですね。

★ヘモグロビンは全身の隅々の末端細胞まで酸素の運搬を行う重要な成分

◆なぜ女性の方がヘモグロビンが不足しやすいの?

男性と女性の性別で見た場合、ヘモグロビン濃度は女性の方が低くなりやすい傾向にあることは明らかになっております。

女性は男性と比較すると体内のヘモグロビン濃度の平均値そのものが異なる為です。

割合で言えば、血液検査を行うと女性の方が6%~10%程度の割合で平均的に血中の含有量が低い比率となっております。

ヘマトクリット基準値一覧表の数値では男性項目と女性項目に分類し基準値の範囲、高い数値範囲、低い数値範囲をそれぞれ記載しているのはその為です。

男女とも検査数値結果が低い場合はまず貧血性疾患の可能性を、ヘマトクリット数値が高いケースでは幾つかの病気の可能性が検討されます。

尚、このように産まれもっての血液中の含有量がやや低い傾向にある点に加え、女性の場合は第2次成長期を迎えると月経(生理)も始まります。

月経時は特に血液を多く失うことから、血液と共に血中内に含まれているヘモグロビン量も不足しがちになってしまうのです。

ヘモグロビンが減少する原因は、このように生理的な現象の他にも何らかの疾患が原因となって血液中の濃度が低下してしまっていることも考えられます。

このような原因を見極める為にも健康診断などでの定期的な検診は重要となってきますね。

※女性のヘモグロビン含有量は6%~10%程度男性よりも低い

◆ヘマトクリット値は体調によっても変化する

ヘマトクリット値は前項でも解説したとおり体調によっても変化する数値です。

女性の場合は、毎月の月経によって血液中の成分量の比率が徐々に変化する為、毎回正確な数値を測定することは困難です。

また、体内の水分量によっても数値は変化する為、脱水症状などが確認される場合では赤血球比率が高くなる傾向にあり正しい数値が測定できません。

健康診断などで検査を初めて受けたようなケースの検査結果の目安としては、まず基準範囲内に数値があるかどうか?

そして基準範囲より低い数値を示しているかどうか?がポイントです。

下限値を下回るようなケースでは鉄欠乏性貧血症を既に発症している可能性が高く、またスポーツ選手などの場合は慢性的な鉄分の不足症状を伴っている可能性が検討されます。

低値を示す場合の治療の基本は食事療法による摂取成分のコントロールが基本ですが、極端に数値が低い場合は点滴などによって一時的に栄養分を補給するケースもあります。

※慢性的な鉄分不足を起こしている可能性もある